ぶたも尾田てりゃ木に登る

おちんちんパニック

 雨上がりの午後です。学校から帰る途中、タケシは水たまりで転び、どろだらけになってしまいました。
「うわーっ、服も靴もむちゃくちゃ!」
泣きそうな顔で家に駆け込み、
「すぐお風呂入る!」
とすっぽんぽんになり、お風呂場へ直行しました。
「シャワー、シャワー!」
しかし、慌てていたので、水のままのシャワーを身体にかけてしまいました。
「ひゃあっ!」
冷たい水がおちんちんにもかかって、おちんちんはもうびっくり。と、その時です。
「おちんちんパニ~ック!」
すっぽん! なんと、あまりの冷たさに、おちんちんはタケシの身体から離れ、走りだしました。
うわ~ん、つめたいよ~」
おちんちんはお風呂場を飛び出し、
うわ~ん!
廊下を走り抜け、
うわ~ん!
玄関を出て、
うわ~ん!
ついに外へ。
うわ~ん!」
おちんちんは駅に向かって走り続けました。しばらく行くと、中学生の男の子と、黒いサングラスをかけた怖そうなオニイサンが立っています。
「おう、ぼくちゃんよ、ちょっと金貸せよ」
「ええっ、あの・・・」
おちんちんは、二人のそばを通り過ぎようとしました。その時です。石につまづいてぴょ~んと飛び上がってしまいました。
「あ~れ~っ!おちんちんパニ~ック!」
ぴたっ!おちんちんは、中学生のおなかにくっついてしまいました。
驚いたのはサングラスのオニイサンです。
「うわーっ!エイリアンだーっ!」
オニイサンは泣きながら逃げていきました。
「え?あれ?ええ?」
中学生が不思議がっているうちに、おちんちんはおなかからぱっと離れました。
「さよなら~っ!怖かったよ~、うわ~ん!
おちんちんは、もっとスピードをあげて、さらに走り続けました。駅前の大通りにさしかかると、セーラー服のお姉さんにセールスマンが話しかけています。
「英語教材のアンケートに答えてください。怪しい者ではありませんよ、何も買わせたりしませんから」
「えー、でもー」
おちんちんは、二人のそばを通り過ぎようとしました。と、その時です。道に落ちていたバナナの皮を踏んですべり、ぴょ~んと飛び上がってしまいました。
「あ~れ~っ!おちんちんパニ~ック!」
ぴたっ!おちんちんは、セールスマンのおでこにくっついてしまいました。
驚いたのはお姉さんです。
「きゃーっ!ちかん!」
「えっ、ま、待って!」
お姉さんが逃げ出してセールスマンがあたふたしているうちに、おちんちんはおでこからぱっと離れました。
「さよなら~っ!びっくりしたよ~、うわ~ん!
おちんちんは息を切らしながら、さらに走り続けました。交差点で、小さな女の子が父親と手をつないで信号待ちをしています。
「パパ、おしっこ」
「ええっ!ど、どうしよう」
おちんちんは、二人のそばを通り過ぎようとしました。と、その時です。交差点を大きなトラックがものすごいスピードで走り去り、その風にあおられて、おちんちんはぴょ~んと飛び上がってしまいました。
「あ~れ~っ!おちんちんパニ~ック!」
ぴたっ!おちんちんは、女の子のおマタにくっついてしまいました。
女の子は首をかしげて、
「なにこれ?」
「おお、今がチャンスだ!」
父親は急いで女の子をビルの陰に連れて行き、立ちションをさせました。
「ふう、助かった」
父親がほっとしているうちに、おちんちんは女の子からぱっと離れました。
「さよなら~っ!恥ずかしいよ~、女の子にくっついちゃったよ~。うわ~ん!
おちんちんは真っ赤な顔で走り続け、
うわ~ん!
駅をぐるりと一周して、
うわ~ん!
来た道をどんどん戻り、
うわ~ん!
家に帰りついて、
うわ~ん!
お風呂場に飛び込み、
うわ~ん!
タケシがつかっている湯船にドボン!
ぴた。
「合体完了!」
「やっと帰って来たね」
「ただいま。やっぱりここが一番だ」
「もう、びっくりするたびに、勝手に走り回るのやめてよね」
「ごめんごめん」
やれやれ、良かったね。とりあえず今日も、めでたしめでたし。

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